東アジア共同体・沖縄(琉球)研究会ブログ

本研究会は、沖縄と日本本土を含む東アジア地域における平和の実現と人権の確立のために東アジア共同体構想を深め、日米両国政府によって翻弄され続けてきた沖縄の独立を含む自己決定権のあり方を多角的視点によって研究することを目的としています。本サイトは、正式のホームページが開設するまでの暫定版で、研究会の案内および入会案内などを発信してまいります。east.asian.community.okinawa★gmail.com(★を@に変えてください))

本研究会名誉顧問の大田昌秀先生(元沖縄県知事)を追悼する

本研究会の名誉顧問、大田昌秀先生が今月(6月)12日にお亡くなりになった。満92歳の誕生日だったという。その長い人生の中でモットーとされた平和への思いは、自らの鉄血勤皇隊として砲弾の雨をくぐり、負傷して気を失った所を九死に一生を得た沖縄戦の体験に裏打ちされていた。生き残った自分は、学友のためにもこの沖縄戦がやらなくてもいい無駄な戦争であったこと、軍隊は不利になれば住民を守らないこと、戦争がもたらしたのは何だったのかということ、などを伝えなければならない、と常々話されていた。大田先生は、住民の4人に一人が(疎開者を除いた現地人口からすれば、3人に一人とも言われる)犠牲となった、悲惨な沖縄戦の生存者たちを象徴的に代表する一人であろう。

 

この体験と決意をもって、大田先生は沖縄戦研究の第一人者となり、平和学研究者としても多くの業績を残された。琉球大学教授在任中は、特に米国国立公文書館等への資料調査には力を注がれておられた。公文書管理保存の重要性を強く認識していた大田先生は、知事就任後、県レベルでは珍しい公文書館の設置に力を入れた。

 

さらに沖縄戦の体験は、世界的にもほとんど例がない、敵味方、国籍、軍人民間人を問わず、沖縄戦などで亡くなった人をすべて戦争の犠牲者として、刻銘するという「平和の礎」を建設するところまで大田先生の情熱を突き動かした。戦後50年の節目の慰霊の日(623日)に組織的戦闘の終わりを告げた糸満市摩文仁の地において、平和の礎が除幕した。平和の礎の中心には、東アジアの平和を見据えた火が灯されている。この火の回りから平和のさざ波が沖縄から東アジア、世界へと広がっていくのである。併設された平和記念資料館の学術的エッセンスの含まれた展示内容も然り、大田先生の県知事として行ってきた平和行政の評価は非常に高いものがある。

戦後30年を節目に、沖縄の現状を訴える「沖縄のメッセージ」事業を日本国内全都道府県に発信しただけでなく、米軍基地問題の当事者である米国各地でも“Message from Okinawa“を展開したことも、これまでになかった情報発信方法であり、特記される。また具体的政策として、基地返還アクションプログラムと国際都市形成構想を提起してその実現に向けておおいに尽力されたことも忘れてはならない。

 

平和運動へのかかわりの面でも大きな功績があることは言うまでもない。各地での講演はもちろん、平和運動の理論的、理念的、実践的支柱となる内容を提示し、闘う運動家、闘う知事、闘う研究者としての側面を発揮された。

 

このように、沖縄戦から戦後の米軍統治を主とする沖縄近現代史研究、米軍基地撤去と東アジアの平和構築への取り組みなど、研究者・運動家・県知事としての大田先生が残した功績はあまりにも大きい。こうした大田先生の功績を残された次世代のわれわれがきちんとバトンを受け継いで、大田先生の遺志の実現に向けて一歩でも近づくように努力していくことが、安らかな手向けとなると考える。

 

本研究会の設立シンポジウム記念講演での大田先生の力強い声は今でも心に響いている。われわれ東アジア共同体・沖縄(琉球)研究会会員は今後も講演会・シンポジウムの開催や会誌の発行などを通じて、沖縄と日本、東アジア地域の平和と共生のために活発に活動していくことを誓うとともに、大田先生に対して心からの追悼の意を表明する。

2017年6月15日(木) 大田先生告別式の日に

東アジア共同体・沖縄(琉球)研究会共同代表 

高良 鉄美

木村 朗

 

追悼文のPDF版は以下からご覧になれます。

本研究会名誉顧問の大田昌秀氏を追悼する.pdf - Google ドライブ

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なお事務局から、研究会名および共同代表の連名で、大田先生への供花させていただきましたことも併せてご報告申し上げます。

事務局 池上大祐

 

【名誉会員・一般会員各位】機関誌創刊号の寄稿のご案内

平素より、お世話になっております。本研究会会誌編集委員の藤村一郎と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

さて、本年の3月31日に、東アジア共同体・沖縄(琉球)研究会 名誉会員・一般会員の皆様へ、会誌『東アジア共同体・沖縄(琉球)研究』創刊号の原稿募集をお知らせしましたが、原稿字数の変更と、冊子形式での発行の決定がございましたので、改めて原稿募集についてお知らせします。詳細は、以下をご覧ください。皆様の積極的なご寄稿を心待ちにしております。

 

※ダウンロードは以下からできます。 

【名誉会員・一般会員対象】東アジア共同体沖縄研究会創刊号への寄稿呼びかけ(改再送).pdf - Google ドライブ

 

【自由投稿 区分】

・論説/時報  新「10000~12000字程度」(旧 12000字程度)

     ・・・学術的な調査・分析を踏まえた論考。引用する場合には出典を必ず明記すること。

 

・実践報告 4000~8000字程度(変更なし)

     ・・・教育研究活動や市民運動等についての紹介や実践記録など。

 

・書評/新刊紹介 新「2000~5000字程度」(旧 5000字程度)

 ・・・過去5年以内に出版された書籍に対する論評。

 

・シンポジウム参加記 新「1000~3000字程度」(旧 3000字程度)

  ・・・これまで本研究会が主催した公開シンポジウムについての感想など。

 

<注意事項>

・ワードファイルで、横書きにて作成してください。ページ内の字数・行数および文字フォントは任意とします(編集委員会で適宜調整します)。

・写真を掲載する場合は、撮影日・撮影者の氏名も明記してください。(著作権に関わります。)

・ご投稿される場合は、どの「区分」でのご投稿かを明記してください。

・査読体制をとっておりませんので、文法上の不備や誤字・脱字をチェックしたうえで、いただいた原稿は原則すべて掲載する予定です。ただし、編集委員会の判断で「区分」を変更する場合がございます。

創刊号については冊子形式でも発行いたします

 

【締切】2017年6月30日(必着)

【送付先】編集委員会用メールアドレス

east.asian.community.okinawa.e@gmai.com

 

編集委員会用メールアドレスは、本研究会事務局メールアドレスと似ていますが、お間違えないようにお願いいたします。@の直前に「.e」が入っています。

*2017年8月中に、電子版(PDF)を本研究会ブログにアップすることを予定しております。

 

東アジア共同体・沖縄(琉球)研究会会誌編集員

藤村一郎(日本学術振興会/東京大学

east.asian.community.okinawa.e@gmail.com

http://east-asian-community-okinawa.hatenablog.com/

 

同事務局

池上大祐(琉球大学

east.asian.community.okinawa@gmail.com

【動画情報】第5回公開シンポジウム動画データのご紹介

第5回公開シンポジウム「沖縄問題とは何か」(2017年3月25日開催@青山学院大学)の「ツイキャス」による配信動画のデータを、当日リアルタイムで配信してくださった橘内克弘会員よりご提供いただきました。貴重なデータをこのように記録して残してくださりありがとうございます。

 

そのまま下記リンクから、ご覧いただけます。

Part 1 http://twitcasting.tv/peacekatu/movie/358655524
Part 2 http://twitcasting.tv/peacekatu/movie/358662260
Part 3 http://twitcasting.tv/peacekatu/movie/358669107
Part 4 http://twitcasting.tv/peacekatu/movie/358678157

 

 ☆

本研究会では、会員からの様々な現場での動画も積極的にアップいたします。ご自身のデジカメ等で撮られた動画を、本ブログにアップする方法も分かりましたので、もしお手元にございましたら、事務局までお送りください(メモリには限界がありますが、現時点ではまだ余裕がございます)。

 

なお、お送りいただく際、データが重いことが想定されますので、大量データ送信フリーソフトの「おくりん坊」などをご使用することをお勧めします。

アップロード|大容量無料ファイル転送サービス「おくりん坊」

 

事務局

第5回公開シンポジウム(東京開催:2017年3月25日)

第5回公開シンポジウム(東京開催)

東アジア共同体・沖縄(琉球)研究会」主催の東京での3回目(全体では5回目)の公開シンポジウムを下記のような形で開催します。共通テーマは、「沖縄問題は何か~沖縄(琉球)・日本(本土)・米国の関係性を問う!」です。多くの皆様方のご参加をお待ちしています。

 

期日:2017年25(土)17:00~20:00(開場16:30)

会 場:青山学院大学総研ビル12階、大会議室
資料代:500円(非会員のみ) ※事前申し込みは不要です。

 

=プログラム=

(共同代表からの開会の挨拶)17:00~17:10 司会者:木村 朗(鹿児島大学
Ⅰ 名誉顧問からの開会のご挨拶(17:10~17:30)※20分
  鳩山友紀夫(元首相・東アジア共同体研究所理事長)

Ⅱ 基調講演と個別報告(17:30~18:30)
【基調講演】※40分
 白井 聡(京都精華大学)「”沖縄問題”が日本に突きつけるもの」

 【第一報告】※20分
 佐藤 優(作家・元外務省主席分析官)「沖縄を巡る当事者性の問題」

 <休憩(18:30~18:40)>


【第二報告】※20分
 松島泰勝龍谷大学)「アジア型IRと西洋型IRの中の琉球独立」

 【第三報告】※20分
 高良鉄美(琉球大学)「『大』と『帝』—憲法と東アジア・琉球

 Ⅲ 質疑討論(19:20~19:50)
 フロアから      ※30分

 Ⅳ 閉会のご挨拶(19:50~20:00)※10分
 羽場久美子(青山学院大学

 

【現地問い合わせ先】ご不明な点等がございましたら以下までお願いいたします。

 羽場久美子(青山学院大学)03-3409-8549,kumihaba@sipeb.aoyama.ac.jp
 または木村朗(鹿児島大学)090-2856-0955,kimura@leh.kagoshima-u.ac.jp    

 

PDFの印刷はこちらから↓

第5回公開シンポ・チラシ(東京開催).pdf - Google ドライブ

 

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「入会申込フォーム」の設定

入会手続き方法について、本ブログからウェブ上で入会申し込みもできるよう、「入会申込フォーム」を設定いたしました。ご入会をお考えの方は、こちらもぜひご活用ください。

※すでに入会申込書にて入会済の方は、改めて入力する必要はございません。

 

事務局 池上

east-asian-community-okinawa.hatenablog.com

 

 

【声明・プレスリリース等の紹介】山城博治氏の釈放を求める刑事法研究者の緊急声明

前田朗会員(副代表)より、下記のプレスリリース及び声明の情報をいただきました。昨年12月28日午後1時に第一次集約を締め切り、第二次集約は1月中旬の予定とのことです。ここに情報としてアップいたします。ぜひとも共有していただければと思います。

 

山城博治氏の釈放を求める刑事法研究者の緊急声明
http://maeda-akira.blogspot.jp/2016/12/blog-post_27.html

 

事務局 池上

【動画情報】欠陥機オスプレイ撤去を求める緊急抗議集会(2016,12,22)

本ブログでは、会員から提供いただいた動画情報をリンクで案内してまいります。今後、【動画情報】というカテゴリーにもご注目いただければ幸いです。そこで、このたび木村朗代表から、表題の動画情報をいただきましたので、ご案内いたします。(事務局)
 
↓以下、転載
2016年12月22日(木)の午後6時30分から名護市の21世紀の森屋内運動公園で開催された抗議集会の様子が琉球新報社のサイトで観ることができますので、ぜひご覧になっていただきたいと思います。(木村より)
 
欠陥機オスプレイ撤去を求める緊急抗議集会 ライブ中継(録画)