東アジア共同体・沖縄(琉球)研究会ブログ

本研究会は、沖縄と日本本土を含む東アジア地域における平和の実現と人権の確立のために東アジア共同体構想を深め、日米両国政府によって翻弄され続けてきた沖縄の独立を含む自己決定権のあり方を多角的視点によって研究することを目的としています。本サイトは、正式のホームページが開設するまでの暫定版で、研究会の案内および入会案内などを発信してまいります。east.asian.community.okinawa★gmail.com(★を@に変えてください))

【緊急声明2020年11月21日】学術会議会員候補任命拒否への抗議声明

学術会議会員候補任命拒否への抗議声明

           

 今年10月1日に判明した菅政権による学術会議からの推薦会員6名の「任命拒否」は、「会員は同会議の推薦に基づき、総理大臣が任命する」と定めている日本学術会議法の本来の趣旨に反しているばかりなく、「学会から推薦したものは拒否しない、形だけの任命をしていく、政府が干渉したり、中傷したり、そうゆうものではない」との政府答弁(1983年)とも大きな齟齬がある。

 今回、任命を拒否された6名の推薦候補は、辺野古の埋め立て承認撤回のために防衛局が国交大臣に行政不服審査を申請したことに、「審査制度の濫用」「法治国家にもとる」との見解を発表した岡田正則早大教授や安保関連法が「歯止めのない集団的自衛権の行使につながりかねない」と、その違憲性を指摘した小沢隆一東京慈恵医科大教授などいずれも安保法制や沖縄基地政策、特定秘密保護法、改正組織的犯罪処罰法共謀罪新設を含む)という国策に何らの形で反対の意思表明をした背景があり、政府が明確な拒否理由を開示出来ない理由もそこにあるとすれば政治権力による「学問の自由への侵害」と指摘せざるを得ない。

 この問題は戦前の滝川事件や天皇機関説事件を想起させるように、日本学術会議の会員人事にとどまらず、今後は国立大学の学長人事や教員の採用・昇格人事、各種学会役員人事、科研費の採択などに波及する恐れもある。2017年4月の学術会議による軍事研究反対声明が政権側を刺激したとの見方もあるが、こうした人事介入によって、今後は大学・研究機関で軍事研究が急拡大する可能性がある。また、中国が進める「千人計画」への研究者の参加・協力が直ちに国益に反する行為として糾弾される流れが作り出され集団同調圧力が生まれようとしていることに大きな懸念を表明する。

 すでに菅政権では、今回の事態を受けて河野行革担当大臣が「行政改革」の一環として学術会議の在り方を見直す方針を表明すると同時に、自民党内に設置された作業グループによって学術会議の独立性・自律性をはく奪する動きも始められている。これは、すでにメディア、官僚、司法に対する官邸統制を強化してきた安倍政権を継承する形で菅政権が教育や学問の分野までこれから本格的に着手しようとする姿勢を示している。

 まさに私たちは戦争とファシズムの1930年代と同じ暗黒時代を再び迎えるのか、それとも平和と民主主義を守るかの大きな岐路に立たされていると言わざるを得ない。すでに多くの団体・市民による抗議活動が拡大し、被爆地や沖縄からも反対の声が上がっている。

 私たち東アジア共同体・沖縄(琉球)研究会は、研究者・市民レベルでの国際交流・意見交換を通じて近隣諸国との平和と共生を実現することを目指している。そうした立場から今回の政治権力による「学問の自由への侵害」に断固反対し、学術会議会員候補「任命拒否」の撤回を政府・菅政権に強く訴えるものである。

 

2020年11月21日 東アジア共同体・沖縄(琉球)研究会総会決議(琉球大学に於いて)

                   共同代表 木村 朗(鹿児島大学名誉教授)

                        島袋 純(琉球大学教授)

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学術会議会員候補任命拒否に関する抗議声明を、本研究会として発表します。

 

事務局より